【呑むコロナ対策支援】コエド ストーンブルーイング、ガレージプロジェクト 梅雨セゾン COEDO, STONE Brewing, GARAGE Project, Tsuyu saison
はてさて「梅雨セゾン」です、これを某高級スーパーで見つけた時には少々驚いてしまいました。
個人的に非常に好きなメーカーであるコエドと例の悪魔のIPAで名を馳せるSTONEのコラボレーションビール(実際の分類はなんと発泡酒)なのだから、そりゃあ驚くってもんです。
ちょっと省いてしまいましたが、さらにガレージプロジェクトというブルワリー(残念ながら初耳)が加わり、「ゴッドファーザー」で皆さんご存知のフランシス・フォード・コッポラ氏が所有するワイナリーでワイン樽を使用して熟成を行うという何とも豪勢な事になっております。
豪華コラボレーション参加企業
出荷は6月8日、でも自分がこれを店頭で見つけたのは7月に入ってから。梅雨にぎりぎり間に合うくらいでようやくの入手となりました。
豪華コラボに加えて呑むコロナ支援、色々設定を盛ったビール(発泡酒)
さて、コエドのHPを見ると、実はこのコラボレーションビールは2015年にアメリカ向けに第一弾が発売されたことがあるとのこと。というわけで今回は第2弾という事になります。うーん、第一弾も是非味わってみたかった。
コラボレーションは一度脇に置いておいて、このスタイルのネーミングも気になる、「梅雨セゾン」です「梅雨セゾン」。
現在自分が住んでいる地域は7月も後半に入っているのにまだまだ梅雨の真っ最中。そんな正に梅雨の時期に期間限定で、季節を直球で感じさせるネーミングとノスタルジックな絵のパッケージ。正直好みではあるが、「セゾン」に「梅雨」を足すのに何の意図があるのか…
先に紹介した企業のコラボ、ワイン樽による熟成に加えて、さらに大きな特徴として埼玉県産の梅を使っているとの事で、この梅を掛けているのだろうか?うーん…
もう色々と設定てんこ盛りで良く分からないことになっております。
コエドのHPには原料や製品の背景など、さらに詳細が書いてあるので気になる人は見てみると面白いと思います。何しろ使用原料を詳細に紹介してあるビールはそんなにないですからね。
また、このビール一本につき20円がコロナ対策支援金「ONE AND ONLY」プロジェクトとしてコロナ対策を進めている団体などに寄付されるそうです。買うだけで勝手に「呑んで支援」なわけです。
今までこんなに書くことが沢山あるビールは無かったような…特徴の塊です。
これ以上細かに書いていくと延々に続きそうなのでもう呑むことにします。いただきます。
酸味と、強い甘みを感じる香り
ではまず開けた缶からの香りを
ホップの苦みを感じさせる草っぽい匂い、セゾンやランビックのような酸っぱい匂いに混じってワインのニュアンスも感じます。その奥からはどっしりとした甘さを感じさせる匂いも。
グラスに注いだ色を見ると山吹色と言った感じ。HPでは色は「ゴールド」となっていたが、そこまで明るくは無いなという印象。泡は大小さまざまな大きさで、泡立ちが良く持ちはそこそこ、色はオフホワイトといったところ。
グラスからの匂いは酸味が主体で、やや埃っぽささえあるその奥からやはり独特な、べったりとした果糖のような甘さを感じさせる。
一言でいうと「複雑」な風味、酸味と苦みと甘みが調和した味わい
一口含んで最初に感じた印象は「甘い」、でもべったりと口に残らない、ぎりぎり嫌な感じがしない甘さ、モルトの風味もしっかりと感じる。その途中でスッキリとした苦さと酸味が調和して他にはなかなか類のない複雑な味わいになる。
なんというかこの三つ味覚と、モルト、ホップ、ワイン樽、梅から来ているであろう様々な風味が口の中で様々に感じられて面白い、風味が複雑に交差していくような感じ。
後味は口の中にわずかに苦みと、酸味が残る。
まとめ
ドライではなく甘さがハッキリと有り、そのおかげで割とどっしりとした味わいになっているので、ドライな仕上がりのセゾンを想像するとかなり印象が異なるように思うでしょう。
その甘さの正体ですが、何気なくラベルの原材料名を眺めていると「氷砂糖」と書いてあるではないですか…そりゃ甘いわけだ。
HPによると梅を氷砂糖で漬け込んで出たエキスを使用しているとのこと。あまりべったりとした甘さになっていないのもこの漬け込みが作用しているんでしょうか。
何かと合わせて楽しむよりも、これ単体をじっくりと味わう方が、このビールを楽しむには向いていると思う。それぐらい色々な複雑な風味が味わえる、何かが突出しているというよりも色々な要素が幾重にも重なってくるような感じ。
梅の存在は…正直わかりませんね! 多分これの「梅無し」と比較しないとわからないと思う。
まあ、梅の存在が強すぎても「梅雨セゾン」ではなく「梅セゾン」になってしまうので、これくらいの「塩梅」が良いのかもしれません。
このビールのどこが「梅雨」なのかと言われれば正直良くわからない。梅雨の時期に出たから梅雨セゾンにしましたと言われれば「ああそうか」という感じ。
アルコール度数8.5%だが、その風味の複雑さに理解が追いつかず、だけどおいしいので「もう一口」となってしまう。割と重めなはずなのに、軽い口当たりでスイスイいける、という何とも不思議な仕上がりになっています。
もしかしたら梅雨で外に出られず家にいる時間が長いから、是非その時間にゆっくりとこの複雑さを楽しんで、ということなのでしょうか。
容量は350mlで販売価格は約500円、期間限定での販売です。
総評
苦さ:★★ 苦さは感じるがあくまで要素の一つ、ホップはアロマを与えるのが主体?
ホップ香:★★ あまり馴染みのない種類、かつ香りの要素が多彩なので評価が難しい…
モルト風味:★★★ 主張するほどでは無いがしっかりと感じる、このビールの複雑さを与えるのに重要な要素になっていると思う。
甘さ:★★★★ このビールの大きな特徴の一つ、だが苦みや酸味とのバランスがしっかりと取ってあるので「ただ甘い」だけではない。
価格:★★★ 安くは無いが、価格に見合った内容と豪華参加企業が作った限定コラボビールと考えればお得感すら感じる、かも
お勧め度:★★★★★ これも見かけたら是非味わってほしい一本、限定商品なので猶更おすすめ
さて、今回のこのビール、個人的には非常に色々と考えさせられた一本でした。
正直最初の香りを嗅いだ時「これはブレットの酸味だ」と思ったのですが、実際にはブレットは使われておらず、ワイイースト社の酵母が使われています。
果たしてこのあたかも「ブレット風」の酸味が使っているイーストによるものなのか、それともワイン樽からなのか、正直わからなくなってしまいました。イーストによってこのような酸味が出るならば非常に驚きです。
甘さに関しても同様で、製品の説明を見るとホップもどうやら甘さの風味に寄与しているようなのです。
なので、香りの甘さと、味わいとしての甘さに実際には差があるのかも…と色々とぐるぐると考えて纏まらなくなってきました。色々と見極めるには経験値が絶対的に足りないですね。
「ビールというのは奥深いんだ」というのをまざまざと見せつけられた一本でした。