フォートポイント モザイクパーク Fort Point, Mosaic Park
今回はフォートポイントというブルワリーの「モザイクパーク」というビールです。
先ずこのフォートポイントというブルワリーについて少々説明を。
同社は2014年創業、会社名は醸造所が立地するサンフランシスコのフォートポイント要塞にちなんで名づけられたそうです。
公式HPを見てると非常にシンプルに作られており、その姿勢の一端が伺えるような気がします。なにせ企業メッセージと言うか、大抵どの会社にもあるような設立のバックグランドの説明も有りません。と言う訳で本当に少々の説明終わり、ハイ。
さて、このモザイクパークですが「シングルホップ」つまりホップは一種類のみMOSAICを使用して作られています。
シングルホップとなると、そのホップの個性が十分に味わえる反面、香りや風味がアンバランスにならないか不安な面もありますが、さてどうでしょう…
穏やかな、素晴らしい芳香
それではまず缶からの香りを。
柑橘系だが色々な要素が混ざった何とも言えない複雑な香り。マスカット、僅かに草の風味も含む。マスカットからの甘さのニュアンスも感じる、何とも表現が難しい。
それではグラスに注いでみます。
色は透明度が高い薄い黄色、若干緑色っぽく感じる。パッと見た感じは最近のIPAと言った感じ。
泡立ちはあまり有りません。色は白く大きさはまばら、持ちは結構良い。
グラスからの香りは柑橘系と、マスカットが強く感じられるようになる。
強烈な柑橘系ではなくトロピカルフルーツのような甘さも感じられる、素晴らしい芳香。
期待以上の味わい、心地よく穏やかに飲めるビール
口に含むと穏やかな心地よい苦みと、グラスから感じられた香りが口中に広がる。やはりマスカットの成分が強く感じる。
どの要素も穏やかで飲んでいて心地が良い、4.7%と低めの度数も相まって非常に落ち着いて飲めるビール。
後味もスッキリしていて、柑橘系の爽やかさが余韻としてほんのわずかに残るだけ、非常に軽やか。
アルコール感は全く感じないと言って良いほどで、本当に飲み易い。ついスイスイと進んでしまう。
モルト感は後味の奥の方にそっと現れる、このような感じ方は結構珍しいと思う。
口中でかき混ぜると盛んに泡立つと同時に苦みが僅かに強調され、後味に急に「麦!」といったような風味が現れる、これは面白い。
まとめ
ホップだけで勝負しているようなビールですが、物足りない感じは無いですね。いい意味で裏切られました。ライトボディながらしっかりと味わいの有る、秀逸なビールに仕上がっているように思います。
何よりも一種類のホップでもここまで複雑な芳香を引き出せることが素晴らしいかと。当然ホップのみで作られるものでは無いですが、正直驚きました。
容量は355mlで値段は700円ほど。度数は4.7%でIBUは19。
フォートポイントではシングルホップを「○○パーク」としてシリーズで出しているようなので、見つけ次第試していきたい。
総評
苦さ:★★ 苦みはしっかりとあるが、非常に抑えめ。日本のラガーよりも苦くないと感じた
ホップ香:★★★★ 柑橘系とマスカットを主体とした多彩な香り、若干の草のニュアンスも感じることが出来る
モルト風味:★★ ほとんど無いが、後味にわずかに感じられる
甘さ:★ ほとんど感じられない
価格:★★ 正直お高い
お勧め度:★★★ べた褒めですが、お勧めかどうかは正直微妙なところ、むずかしい…値段がね…
シングルホップを試したい人や「強烈なのはちょっと…」という人、落ち着いて飲みたい人にはお勧め。国産の手に入りやすいビールには似たようなキャラクターは見つからないと思う。
さて、これを書いている時期に酒税法が改正されたようですね。
何やら新ジャンルは増税で、ビールは安くなるとの事、最近もっぱらビール主体の自分にとっては有り難いです。
(21年1月24日に記事内容と評価を若干修正)
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